くらもちふさこは天才だった!/紡木たく『ホットロード』

 

うつです。私も神さんもいくぶん改善傾向にあるものの、うつです。

そりゃードラスティックに良くなる訳ねーわなー(笑)。

神さんが言いました。

「心がガラスでできていたとして、とがった爪でガリガリと激しくガラスをかき削られる、そんな苦しみなんですね」と。

まさに言い得て妙。それがうつ病。ぐるじい。

 

先日、1979年までは「君、うつ病じゃない?」というヒロインが少女漫画に多数出てきた、と書いたが、これについて少々。

思いっきり団子にして書いてしまったが、厳密には漫画雑誌によって異なっていた。そうしたヒロインが多く出てきたのは『週間・少女マーガレット』(勿論、掲載されていた全ての漫画がそうであった訳ではないですよ)、『月刊・セブンティーン』(同)とかに多かった。

ここで余談。この二つの雑誌で池田理代子の『オルフェウスの窓』が連載されていたのだが

 

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この漫画、当初はミステリーと音楽をストーリーの中軸に据えられていて面白かった。

けど、ストーリーがロシア革命に展開されていくと。池田理代子ボルシェビキを美化し過ぎ! 急進派のボルシェビキについて強盗、婦女暴行とかしまくりの狼藉三昧を一切描くことなく、また穏健派であったメンシェビキとのかかわりに一切触れることなく描いたことを反則だと私は声を大にして言いたい。

さすが東京教育大学(現・筑波大学)在学中に学生運動に熱中し、日本共産党員になっただけのことはある、池田理代子。「資本論」も「共産党宣言」も読めるアタマが無かったのだろう。

しかも主人公ユリウスの最期は救われない。

私は最終回を読んでうつ状態になったのだから!

でも、ウィルヘルム・バックハウス

 

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(画像、上でピアノを弾いているのがバックハウス

 

イケメンで出してくれたことには私、大感激。神さんも。

でも、ユリウスも何度もうつモードに入ったような記憶が。

 

話を戻して、そうした少女漫画が幅をきかせながらも『別冊マーガレット』は違っていた。異彩を放っていた。うつモードに入るヒロインが登場することのない漫画ばかり。

 

そして、その『別冊マーガレット』において、1978年連載の『おしゃべり階段』

 

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で、くらもちふさこの才能がいよいよ開花。

くらもちふさこの凄さは先ず、登場人物たちの心理描写に長けていて、それを武器に読者を魅了すること。

次に、くらもちふさこの漫画に登場する男(要はヒロインが恋心をもつ相手)は「何処にでもいる等身大の男」と言うこと。それまでの少女漫画の男は、例えば池田理代子ならアンドレ、フェルゼン、アレクセイ(クラウス)、イザーク等々、普通「あり得ねー」という男ばかりで私はそれに辟易していた。だから、この『おしゃべり階段』での中山手線くん

 

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には嬉しかった。そもそも、くらもちふさこの漫画の主人公女子も等身大の女の子なのだが。これって、画期的で凄いことだったの

まー、真柴くんは勘弁しよう(笑)。くらもちふさこ、まだ未完の大器だったのだから。

そして、くらもちふさこ天才となったのは1980~81年連載の『いつもポケットにショパン』! 不朽の名作! 

 

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NHKの朝ドラ『半分、青い。』にも登場し、同作品をバイブルとして青春時代を過ごした女性・男性はもう大感激したものだ。私も神さんも。きんどーさんもKくんもSも。

 

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それこそ

 

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緒方季晋(おがたとしくに)たるや、まさに等身大の男。空港のロビーの椅子に座っている季晋が、右脚をぶっきらぼうに外側に広げていることまで細かく描いていた。

そして心理描写であるが、季晋と主人公・麻子がコンテストで競い合う大団円の箇所が凄い。

ところで、この『いつもポケットにショパン』を読んだことがある平成女子・21世紀女子は「こんな男、いねーよ!」となるだろうが、昔はいたの! それこそ、私の高校生の頃。きんどーさんは季晋同様なところがあり、「きしんちゃん、きしんちゃん」と女子高生にたちに呼ばれていたものだ。私も呼ばれたりした。生まれた時代が悪かったと思いなさい。

 

だが、当のくらもちふさこ

 

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この『いつもポケットにショパン』が「大袈裟な展開になった」ことが不満で、また自身の代表作とされることに長い間、抵抗があった模様。

 

そりゃそうだ。くらもちふさこ天才は1982~83年連載の『いろはにこんぺいと』ピークに達したのだから!

 

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それこそ同作品における登場人物たちの心理描写たるや卓越しており

 

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主人公が想いを寄せる姫野達(ひめのとおる)たるや悪ガキの要素を持ち合わせた等身大の男。きんどーさんも私も「とおるちゃん、とおるちゃん」と女子高生たちに呼ばれた時もあったっけ。

だが、この『いろはにこんぺいと』をくらもちふさこの最高傑作に推す人が多いが何故か『半分、青い。』には出てこなかった

 

ところが、この後の

 

『東京のカサノバ

 

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と、『A-Girl』

 

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で作風をガラリと変えた。

等身大の登場人物を捨て去り(完全な虚構の人間とした)、心理描写に重点をシフトさせたのだ。

ここが古い時代からのファンが離れ、新たなファン層を獲得した分岐点。

私も私の男女の友人たちも果ては神さんも、くらもちふさこの新たな路線について行けなくなり、『Kiss+πr2』でさよならをした。

だが、それら以降のくらもちふさこの作品を90年代の終わりに読んだのだが、卓越した心理描写が凄く、90年代の少女漫画家に多大な影響を与えたことがよく解った次第。

 

ここで他の『別冊マーガレット』で活躍をした漫画家について。

 

多田かおる。『愛してナイト』が代表作。

 

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ビーハイブというロック・バンドで活躍するボーカリスト加藤剛お好み焼き屋の女の子、八重子ちゃんの恋物語。なのだが、連載当時に関西を拠点としていたハードロック・バンドのアースシェイカーや44マグナム等々を上手く絡めてきたのだ。また、剛の恋敵として現れるパンクロック・バンド、因数分解のボーカリスト、北大路良太郎はスターリン遠藤ミチロウ(笑)。遠藤ミチロウはさておき、実在するセミプロ・バンドであったアースシェイカーや44マグナム等々を上手く絡めたことが当時、斬新だった。昔から少女漫画とロックは切っても切れない関係だったが(大袈裟だな)、実在のバンドを絡めてきたのは多田かおるが初めてだった。

 

まァ、多田かおるはおまけです。火曜日にNHK『うたコン』を見た時に

 

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司会の谷原章介くらもちふさこ多田かおるのファンだったことを思い出したから。そう言えば『うたコン』で、24歳(だっけ)の演歌歌手が歌っている時に(郷ひろみの歌かと思ったぞ)、司会の赤木野々花アナが右腕を振り上げていたのに笑った(笑)。

豊川悦司が『半分、青い。』に出たのも、豊川がくらもちふさこのファンだったから。

 

そして、くらもちふさこに次いで、世の女男に大衝撃を与えた漫画家が登場!

 

 

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紡木たく。『ホットロード』。

同作品は作者、紡木たくの実体験を基に描かれたものであるが、自身の体験を見事に対象化し、これ以上ない第三者的視点で描き上げた一大傑作。

これは衝撃だったのよ、マジで。

私、大学生だったけど、女男を問わずみんなが読んでいたもの、衝撃を受けながら。学校は慶應だけじゃなく早稲田、上智、東大、お茶の水女子大、津田塾、MARCH、日東駒専、他多数。

 

能年玲奈が主人公を演じ映画化がなされ、大成功を収めたことは記憶に新しい。だが、春山を演じた男優がスカだったことが大いに不満。それ以上に、この映画が成功しちゃったから、ね、分かるでしょ。

 

だが、紡木たくはこの『ホットロード』と『瞬きもせず』で永遠に語り継がれる漫画家となった。

 

 

 

 

 

神さん・昔は漫画から大切なことを教わったね・ラブ。