詐欺に満ちたオーディオ機器を糾弾する(1)

久々のオーディオ・ネタだ。

 

オーディオと言っても、この私がオーディオ愛好家の若手に属するのだから、あと20年後には日本からオーディオは消え去っているものと思う。

この日本では、オーディオなど、少数派のジジイの趣味でしかない。

 

とは言え、詐欺・欺瞞に満ちたオーディオ機器を糾弾することには大きな意味があると考える。

何故なら、販売価格が余りにも高額なことが、私以降の若い世代にオーディオが普及しなかった大きな要因の1つであるからだ。

 

今回は、パワー・アンプを中心に欺瞞に満ちたオーディオを糾弾したい。

 

その前に、先ず、下のスピーカーについて話をしたい。このスピーカーの登場が、1990年以降に世界中で出鱈目パワー・アンプを生み出させることになったからだ。

 

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写真のものが当該機種に当たるのかどうか私には判らないが、この米国製のウィルソン・オーディオのスピーカーが1980年代半ば頃に登場した。

1980年頃から米国では、ホームシアター・ブームが巻き起こり、米国の各スピーカー・メーカーはホームシアター対応のスピーカーの開発に迫られた。

そのホームシアター対応のスピーカーとして、『完成度の高いホームシアター・スピーカー』、として現れたのが、このウィルソン・オーディオのスピーカー。

ホームシアター用のスピーカーは、ピュア・オーディオ(音楽鑑賞の為のオーディオ)のスピーカーとは全く異なる構造を要しており、コーン紙は異常に固く、また異常なまでに能率が低い(低能率)。

 

この異常なまでに能率が低い(低能率)ということが、世界中(と、言っても、米国、日本、西ヨーロッパだが)のオーディオ・メーカーのアンプづくりを迷走させる。

スピーカーが低能率である以上、それを駆動するパワー・アンプには、主に大出力を要求させられる。

 

本来、スピーカーというものは、高能率で低歪率を要求されるものであるが、米国で生じたホームシアター・ブームが、本来のスピーカーの在り方を根本から悪しき方向へ覆したのである。

そして、そのホームシアター・ブームは、米国のみならず、ドイツを除く西ヨーロッパにまで拡大した。

 

上のウィルソン・オーディオのスピーカーの後に続き、ホームシアター対応用の米国製スピーカーが多数、日本に上陸した。

日本製でも、1990年代初頭まで低能率なピュア・オーディオのスピーカーもあったが、概して売れなかった。

 

だが、そうした米国製ホームシアター用のスピーカーが、日本では、『ピュア・オーディオ用のスピーカー』として雑誌で紹介され、オーディオ店でもその様にして販売された。

詐欺である。

 

それで、日本におけるアンプ・メーカーは自ずとそうしたスピーカーを駆動する為に、高出力を出すパワー・アンプづくりを行うようになった。

 

日本におけるアンプ・メーカーなど、悪フェーズやタックスマン(以下、税務署)の両巨頭に代表されるように、ゴミ・メーカーしかなかったのだが、悪フェーズや税務署、他のメーカーまで大出力のパワー・アンプをつくるようになった。

 

では、大出力のパワー・アンプの何が悪いのか、ということになる。

 

筆者は、税務署でパワー・アンプ設計の仕事に従事していて、退職後、街のアンプの修理屋さんとして生計を立てていた人物と懇意になり、税務署の80年代初期のパワー・アンプと90年代半ば頃のパワー・アンプ(そのパワー・アンプは、後者が前者の発展系で、モデル・チェンジの度に型番が変わったもの)の回路図の写しを見せてもらったことがあるのだが、筆者が絶句したほどに後者のパワー・アンプは回路が異常なまでに複雑化していた。

それに反して、出力がまだ小さかった80年代初期のパワー・アンプの回路は、シンプルであった。

 

パワー・アンプというものは、大出力を得ようとすると、アンプ筐体内で、あっちでアースを取り、こっちでアースを取り・・・・・・となるし、それ以上に、回路が複雑化すると、スピーカーにまで流れる音楽信号が極めて遠くなる。更には、音楽信号が極めて遠くなる過程において、音楽信号を小さくしたり大きくしたり、を何度となく繰り返しているのである。

 

結論をシンプルに書けば、パワー・アンプの音質を悪化させているだけなのだ。

 

悪フェーズ、然り、である。

 

そして、税務署も悪フェーズも、カタログでは、『シンプルな回路』などと謳っているのである。

詐欺である。

 

何も、回路図がないと回路がシンプルか複雑怪奇かが判らないことはなく、音を聴き比べれば一聴瞭然だ。シンプルだと音楽が朗々と鳴り、複雑怪奇であるなら音楽が窮屈に鳴るのだ。

 

海外メーカーのアンプを例に挙げる。

 

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これは1979年にデビューし、その高音質と高いスピーカー・ドライブ能力を併せ持ったことで大人気を博した、スレッショルドのステイシス1。

音楽が朗々と鳴る、極めて音楽的なアンプであった。

スレッショルドの主宰者は、ネルソン・パスという人物。

その後、スレッショルドは倒産したものの、90年代早々にネルソン・パスが新たに興したパス・ラボラトリーズのアンプ。

 

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同じ人が関わっているのか、と疑うほどに、下のアンプの音は窮屈極まりなかった。

音、ゴテゴテ・・・・・・。

 

次に

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オーディオ愛好家、垂涎の名機、クレル・KSA100。

 

それが、90年代になると

 

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となり、その音のしょーもなさから、今ではオーディオ愛好家には見向きもされない。

 

これは、ホンの一例。

お値段ばかりがやたらと高いだけだった。

 

あとは、国産メーカーが、『高級パーツを使用』などとよく謳っていたものだが、21世紀に入って、国内はおろか先進国にも音質に効くパーツがなくなり、東南アジア諸国の手頃なパーツを安く買って使っているだけ。

されど、販売価格は高価。

詐欺である。

製造原価は安いはずなのに販売価格が高いのだから、詐欺以外の何者でもない。

 

また、海外製品は、オーディオが売れないものだから、一製品当たりの販売価格を不当に高くし、粗利を稼ぐという手段に出た。もう、16、17年にはなる。

 

ここまでお読みの方は、もう気がついたはず。

オーディオ衰退の要因は、機器が高価なだけではなく、音が悪いから、だと。

そうなのだ。

PCにUSBの1万円のスピーカーをつないでYouTubeで音楽を聴いた方が、音が良いのである。

 

いや、例えば、JBLのパラゴンをクレル・KSA100やステイシス1で鳴らしたなら、PC+USBスピーカーは消えてなくなる。

 

(この稿・続く)